【公演レポ】藤原歌劇団 グノー歌劇「ロメオとジュリエット」公演が上演!

4月27日(日)藤原歌劇団グノー作曲「ロメオとジュリエット」楽日組公演を日本国内では珍しい馬蹄形客席の本格的な劇場テアトロ・ジーリオ・ショウワで観賞した。


写真提供:公益財団法人日本オペラ振興会(撮影:池上直哉)
キャプション:藤原歌劇団公演「ロメオとジュリエット」

「ロメオとジュリエット」は、フランスの作曲家シャルル・グノーが作曲した全5幕のオペラ。ウィリアム・シェイクスピアの戯曲「ロメオとジュリエット」を原作とする作品で、グノーが作曲したオペラの中では9作目にあたる。シェイクスピアの戯曲から生まれた数多くの作品の中で最も成功し、人気を得たもののひとつと言われ、4つの愛の二重唱の評価が高い。音楽的にも大変美しい作品でグノー独特の甘美な旋律や魅力的な音楽を享受できる。

藤原歌劇団「ロメオとジュリエット」公演は、オーケストラがステージ後方に配置され、指揮者のタクトと映像・照明・衣裳を伴ったドラマティックな演技を同じ視線で鑑賞することができる「Teatro OPERA Collection」形式で上演された。観客はマエストロの指揮と共に、舞台上の演技と音楽を一体感を持って楽しめるように工夫されていた。


写真提供:公益財団法人日本オペラ振興会(撮影:池上直哉)
キャプション:藤原歌劇団公演「ロメオとジュリエット」

指揮者とオーケストラの前が演技スペースとなる方式だが、オーケストラ・サウンドの上の歌手の声がダイレクトに乗るため、音のバランスに優れているという利点があった。松本重孝の演出は物語の美しさを重視したもので目配りが良い。歌手たちの演技を見応えあるものに仕上げていた。

タイトルロール、ジュリエットの米田七海は、明るく澄んだソプラノと華やかな歌唱で聴き手を魅了。アリア「私は夢に生きたい」は、ジュリエットそのものの純粋さと切なさを美しく描いた。


写真提供:公益財団法人日本オペラ振興会(撮影:池上直哉)
キャプション:藤原歌劇団公演「ロメオとジュリエット」

山本康寛は、役者としてロメオとしての熱量と繊細さが併存していた。ロメオの若さとジュリエットへの熱き想いを演唱両面で見事に表現。感情豊かなロメオのカヴァティーヌ「ああ、太陽よ昇れ!」で聴衆の胸を打った。


写真提供:公益財団法人日本オペラ振興会(撮影:池上直哉)
キャプション:藤原歌劇団公演「ロメオとジュリエット」

主人公ロメオの親友メルキューシオの市川宥一郎は、声の響きが良く、日本人離れした声量に驚かされた。「マブの女王のバラード」は、フランス語の良さを生かし颯爽に歌われ、楽日公演でしっかりとした爪痕を残した。


写真提供:公益財団法人日本オペラ振興会(撮影:池上直哉)
キャプション:藤原歌劇団公演「ロメオとジュリエット」

決闘シーンの演技もスリリングで見応えがあるものだった。


写真提供:公益財団法人日本オペラ振興会(撮影:池上直哉)
キャプション:藤原歌劇団公演「ロメオとジュリエット」

修道士ローランを演じた久保田真澄は、メリハリがしっかりとした歌唱と若い二人に寄り添う演技が良好。歌手陣はそれぞれ歌唱に優れており、オペラ「ロメオとジュリエット」の魅力を存分に伝えてくれた。


写真提供:公益財団法人日本オペラ振興会(撮影:池上直哉)
キャプション:藤原歌劇団公演「ロメオとジュリエット」

藤原歌劇団合唱団のよるグノーの合唱は、重厚で印象深く、物語になくてはならない役割を演じた。


写真提供:公益財団法人日本オペラ振興会(撮影:池上直哉)
キャプション:藤原歌劇団公演「ロメオとジュリエット」

オペラを中心に活躍の場を広げている園田隆一郎の指揮は、テアトロ・ジーリオ・ショウワ・オーケストラを的確にリードし、グノー流オーケストレーションの妙を打ち出した。さすが劇場仕込みのマエストロだけあって、歌手陣・合唱団とピタリと合う呼吸感に優れ、聴き手に心地がよい空間を提供した。


写真提供:公益財団法人日本オペラ振興会(撮影:池上直哉)
キャプション:藤原歌劇団公演「ロメオとジュリエット」

初日公演に引き続いて行われた楽日公演は、ほぼ満員の大盛況のうちに終演し、多くの来場者から感動の声を寄せられた。歌唱力・演技力・舞台構成・演出に対して高い評価が寄せられた好公演だった。

■藤原歌劇団公演
Teatro OPERA Collection
C.グノー作曲「ロメオとジュリエット」
オペラ全5幕<字幕付き原語(フランス語)上演>

公演日時:2025年4月27日(日) 14:00 開演
会場:テアトロ・ジーリオ・ショウワ

公演監督:星出豊
指 揮:園田隆一郎
演 出:松本重孝

STAFF

合唱指揮・副指揮:玉崎優人
美術:増田寿子
衣裳:前岡直子
照明:成瀬一裕
舞台監督:菅原多敢弘
演出助手:手塚優子
副指揮:澤村杏太郎
殺陣師:美濃良
フランス語ディクション:和田ひでき

CAST

ロメオ:山本 康寛
ジュリエット:米田 七海
メルキューシオ:市川 宥一郎
ティバルト:工藤 翔陽
修道士ローラン:久保田 真澄
ステファノ:石田 滉
キャピュレット:小野寺 光
ジェルトリュード:山本 千鶴
パリス:相沢 創
グレゴーリオ:岩美 陽大
ヴェローヌ大公:東原 貞彦
ベンヴォーリオ:勝又 康

合唱:藤原歌劇団合唱部
管弦楽:テアトロ・ジーリオ・ショウワ・オーケストラ

主催
公益財団法人日本オペラ振興会
助成
文化庁文化芸術振興費補助金(舞台芸術等総合支援事業(公演創造活動))|独立行政法人日本芸術文化振興会

ロメオとジュリエット | JOF 公益財団法人日本オペラ振興会