新国立劇場の2025/2026シーズン オペラ ラインアップ説明会が開催。説明会には、大野和士 オペラ芸術監督が登壇した。
2演目の新制作が発表された。アルバン・ベルク《ヴォツェック》は2025年11月、リヒャルト・シュトラウス《エレクトラ》は2026年6月・7月上演される。
新ウィーン楽派の作曲家アルバン・ベルクが唯一完成させたオペラ『ヴォツェック』は、貧困にある兵士の精神的不安と破滅を描く衝撃的な作品で、20世紀オペラの金字塔として世界中で上演が繰り返されている。
『エレクトラ』は、血塗られた家系アトレウス家の娘エレクトラが復讐の情念に燃え、悲願を果たした末に命を絶つ凄惨な歌劇で、 大野芸術監督は「《ヴォツェック》が黒だとすれば《エレクトラ》は緋色。激しく燃えたぎるような、非常にエネルギッシュな演目です。音楽で復讐を描き、最初から最後まで手に汗を握るオペラ」と語った。
■注目すべき8演目のレパートリー作品
シーズン開幕はプッチーニの《ラ・ボエーム》が飾る。19世紀パリを舞台に、詩人ロドルフォとお針子ミミの儚い愛、そして明日の成功を夢見る若き芸術家たちの貧しくも自由な生活を描いた青春オペラ。ミミ役として欧米の歌劇場で活躍するマリーナ・コスタ=ジャクソンが初登場。23年《シモン・ボッカネグラ》で大活躍したルチアーノ・ガンチがロドルフォを歌唱する。ミラノ・スカラ座、ローマ歌劇場、バイエルン州立歌劇場、英国ロイヤルオペラなどで指揮してきた名匠パオロ・オルミの棒捌きに注目。演奏は日本を代表するオペラ・シンフォニーの東京フィルハーモニー交響楽団が担当する。
グルックの《オルフェオとエウリディーチェ》は、バロック・オペラの中でも群を抜いて上演頻度の高い人気作として再登場する、指揮は特にイタリア・オペラを中核に、オペラ指揮者として活躍する園田隆一郎が担当。注目のオルフェオ役には現代最高峰のアルト歌手サラ・ミンガルド、エウリディーチェにイタリア古楽のスペシャリスト、ジュリア・セメンツァートが登場します。
《こうもり》は、ワルツ王ヨハン・シュトラウスⅡ世の代表作で、オペラファンにもオペラ初心者にも愛されるオペレッタ。ドイツの歌劇場で活躍している指揮者ダニエル・コーエンと、アイゼンシュタイン役のトーマス・ブロンデルが初登場する。オルロフスキー公爵にはウィーンでカウンターテナーとして躍動した藤木大地が出演します。
撮影:鹿摩隆司 提供:新国立劇場
ヴェルディの傑作オペラ《リゴレット》は、富と権力にものを言わせ女性から女性へと遊び歩くマントヴァ公爵、公爵と取り巻きが遊興を尽くす裏社会で媚びを売る道化師リゴレット、その娘で純粋一途なジルダに纏わる悲劇が繰り広げられます。注目のリゴレット役にはヴェルディ・バリトンとして飛躍するウラディーミル・ストヤノフ、マントヴァ公爵にはスター・テノールのローレンス・ブラウンリー、ジルダには同役を得意とする中村恵理が出演する。
撮影:堀田力丸 提供:新国立劇場
モーツァルト《ドン・ジョヴァンニ》は、稀代のプレイボーイ、ドン・ジョヴァンニの恋愛遍歴と衝撃的な最期を描いた人気作。新国立劇場でもおなじみの飯森範親が指揮。タイトルロールにモーツァルトを得意とするヴィート・プリアンテ、ドンナ・アンナにはスター・ソプラノのイリーナ・ルングが出演する。
ヴェルディの人気定番オペラ《椿姫》は、華やかなパリ社交界を舞台に、高級娼婦ヴィオレッタの悲劇的な運命が、ドラマティックな音楽で描かれます。ヴィオレッタ役としてスター街道を駆け上っているカロリーナ・ロペス・モレノ、アルフレード役として注目株アントニオ・コリアーノが初登場する。新国立劇場のブサール演出は、美麗な舞台と洗練された衣裳が大きな見どころとなっている。
《愛の妙薬》は、ベルカント・オペラを代表する作曲家ドニゼッティの人気オペラ・ブッファ(喜劇)。ヒロインとして、ヨーロッパで大活躍中のフランチェスカ・ピア・ヴィターレの来日が決定。ネモリーノは2022年《椿姫》アルフレード役を歌って絶賛されたマッテオ・デソーレが登場する。
撮影:寺司正彦 提供:新国立劇場
フランスオペラ マスネの《ウェルテル》は、多感な青年ウェルテルと貞淑なシャルロットの成就することのない恋を描いた文豪ゲーテの『若きウェルテルの悩み』をオペラ化した作品となっている。ウェルテル役には、世界的スター、チャールズ・カストロノーヴォが新国立劇場に初登場する。ヨーロッパで大活躍中の脇園彩がシャルロット役として歌唱します。ソフィー役として出演する新進気鋭の若手ソプラノ歌手 砂田愛梨にも注目が集まっている。管弦楽は、東京フィルハーモニー交響楽団が担当。
■新国立劇場 2025/2026シーズン オペララインアップ
ジャコモ・プッチーニ
『ラ・ボエーム』
公演期間:2025年10月1日[水]~10月11日[土]
アルバン・ベルク
『ヴォツェック』<新制作>
公演期間:2025年11月15日[土]~11月24日[月・休]
クリストフ・ヴィリバルト・グルック
『オルフェオとエウリディーチェ』
公演期間:2025年12月4日[木]~12月7日[日]
ヨハン・シュトラウスⅡ世
『こうもり』
公演期間:2026年1月22日[木]~1月29日[木]
ジュゼッペ・ヴェルディ
『リゴレット』
公演期間:2026年2月18日[水]~3月1日[日]
ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト
『ドン・ジョヴァンニ』
公演期間:2026年3月5日[木]~3月12日[木]
ジュゼッペ・ヴェルディ
『椿姫』
公演期間:2026年4月2日[木]~4月12日[日]
ガエターノ・ドニゼッティ
『愛の妙薬』
公演期間:2026年5月16日[土]~5月27日[水]
ジュール・マスネ
『ウェルテル』
公演期間:2026年5月24日[日]~5月30日[土]
リヒャルト・シュトラウス
『エレクトラ』<新制作>
公演期間:2026年6月29日[月]~7月12日[日]

■新国立劇場について
新国立劇場は、日本唯一の現代舞台芸術のための国立劇場として、オペラ、バレエ、ダンス、演劇の公演の制作・上演や、芸術家の研修等の事業を行っています。オペラ部門は2018年9月より世界的指揮者の大野和士が芸術監督に就任し、世界の主要歌劇場と比肩する水準のオペラ公演を年間およそ10本上演、高校生のためのオペラ鑑賞教室の実施等を行っています。
所在地:東京都渋谷区本町1-1-1 https://www.nntt.jac.go.jp/
