2月24日、東京フィルハーモニー交響楽団第1010回オーチャード定期演奏会を渋谷Bunkamuraオーチャードホールで聴いた。コンサートマスターは。三浦章宏。三浦は、昨年 名誉音楽監督であるチョン・ミョンフンが指揮した韓国3都市4公演の海外ツアー全公演でコンサートマスターを務めた。
撮影=上野隆文/提供=東京フィル
前半は、同ツアーでも演奏されたベートーヴェン ピアノ、ヴァイオリンとチェロのための三重協奏曲が披露された。協奏曲でのソリストは、チョン・ミョンフンがピアノと指揮者と兼務。ヴァイオリンが前田妃奈、チェロがハン・ジェミンが奏でた。
撮影=上野隆文/提供=東京フィル
ヴァイオリンの前田妃奈は、ヴィエニャフスキ国際コンクールで優勝。韓国生まれのチェリスト ハン・ジェミンは、2021年エネスコ国際コンクールにて最年少で優勝しており、新進気鋭の若手ソリストが揃った期待の演奏会となった。
撮影=上野隆文/提供=東京フィル
ベートーヴェン ピアノ、ヴァイオリン、チェロと管弦楽のための協奏曲 ハ長調は、通常は「三重協奏曲」と呼ばれている。前田妃奈のヴァイオリンは、透明感があり艶やかで高雅。ハン・ジェミンの洗練されたチェロとの対比が面白い。普段あまり見ることができないチョン・ミョンフンのピアノ伴奏は、心地よい力感と軽快さが感じられる大変立派なものだった。3名の名手たちの共演による輝きがある響きが堪能できた。
撮影=上野隆文/提供=東京フィル
後半は、ベートーヴェン自身が最高傑作として称していたことで知られる交響曲第3番「英雄」。第一楽章は英雄というタイトルに相応しいスケールが大きく勇ましい主題と旋律美が特徴的だった。
撮影=上野隆文/提供=東京フィル
第三楽章は、軽快で緊張感のあるスケルツォが展開され、3本のホルンが「狩りの角笛」をテーマに音楽全体のクライマックスを高めてくる。ホルンが揃ったときの響きがまろやかで例えようもないほどの豊かさ。ぴったりと合った呼吸感と掛け合いから生み出されるメロディラインに酔いしれた。
撮影=上野隆文/提供=東京フィル
マエストロ チョン・ミョンフンは、間合いを取るのが巧みで、円熟した指揮より音の表現が緩急自在。適度で心地よい緊張感と集中力を奏者と聴き手から引き出していた。マエストロチョンの音楽は、どのパートを聞いても音の不均一・無理無駄がいったものがなく、名演を作り上げる手腕が秀抜していた。
撮影=上野隆文/提供=東京フィル
チョンミョンフン&東京フィルハーモニー交響楽団は、熟練された技巧と才覚で輝かしい「英雄の響き」を作り上げ、観客から熱狂的な喝采を受けた。
撮影=上野隆文/提供=東京フィル
■東京フィルハーモニー交響楽団
第1010回オーチャード定期演奏会
日時;2月24日(月・祝)15:00
会場:Bunkamuraオーチャードホール
指揮・ピアノ:チョン・ミョンフン(名誉音楽監督)
ヴァイオリン:前田妃奈
チェロ:ハン・ジェミン
ベートーヴェン/ピアノ、ヴァイオリンとチェロのための三重協奏曲
ベートーヴェン/交響曲第3番『英雄』
主催:公益財団法人 東京フィルハーモニー交響楽団
助成:文化庁文化芸術振興費補助金(舞台芸術等総合支援事業(公演創造活動))| 独立行政法人日本芸術文化振興会
協力:Bunkamura
