7月31日、ミューザ川崎シンフォニーホールにてフェスタ サマーミューザ KAWASAKI 2024読売日本交響楽団の演奏を聴いた。指揮は、2019年ブザンソン国際コンクール優勝以降、脚光浴びる若手女性指揮者の沖澤のどか。コンサートマスターは日下紗矢子。
(C)T.Tairadate
コンサート前にプレトークが開催されたが、沖澤は夏風邪をひき喉が不調とのことで、ピアニストの阪田知樹が中心になってトークが行われた。
R.シュトラウス交響詩「ドン・ファン」は読売日本交響楽団の実力が遺憾なく発揮された楽曲で読響は、水を得た魚のようなイキイキとした演奏を展開した。金管の鳴りが輝かしく、弦は艶やかさが際立っていた。沖澤は、風邪とは思えない的確な指揮ぶりで、オーケストラから緩急ある音を引き出していた。
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ロマン派の音楽家たちに強烈な印象を与えたピアノの魔術師フランツ・リストのピアノ協奏曲第2番では、阪田知樹のピアノが冴えわたった。
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阪田は、2016年フランツ・リスト国際ピアノコンクール優勝者ということもあり、 超絶技巧と情感を織り交ぜたピアノを鮮やかに披露。終盤の煌めくピアノのカデンツァは輝かしい宝石のようで観客から溢れるばかりの喝采を浴びた。
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後半は、サン=サーンス交響曲第3番「オルガン付き」。オルガン演奏はミューザ川崎シンフォニーホール・ホールオルガリストの大木麻理。優れたオルガン奏者でもあったサン=サーンスはリストを非常に尊敬しており、「リストの思い出」という献辞と共に、同曲をリストに捧げている。
沖澤のどか&読売日本交響楽団はフランス的な華やかさを際立てながら、安定感ある演奏を展開。沖澤の指揮は、細部のニュアンスと楽曲が持つ色彩感を大切にしていると感じられた。フィナーレが圧巻の出来で、オルガンとオーケストラの化学反応により作り出された壮麗な響きは手に汗にぎるスリリングさがあった。
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ホールオルガリスト大木麻理のオルガンはホールの特性をよく理解した美しい響き。オーケストラとのバランスも良好で、生のオルガンの魅力をじっくりと伝えてくれた。
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■フェスタ サマーミューザ KAWASAKI 2024
読売日本交響楽団
俊英・沖澤のどかが鮮やかに描く、荘厳なる音物語
日時:2024.7.31(水)19:00開演
会場:ミューザ川崎シンフォニーホール
指揮:沖澤のどか
ピアノ:阪田知樹
パイプオルガン:大木麻理
R.シュトラウス:交響詩『ドン・ファン』op. 20
リスト:ピアノ協奏曲第2番 イ長調 S125/R456
サン=サーンス:交響曲第3番 ハ短調 op. 78『オルガン付き』