【公演レポ】ミューザ川崎シンフォニーホール20周年を祝うサマーミューザ開幕コンサート


7月27日、フェスタ サマーミューザ KAWASAKI 2024のオープニングコンサートをミューザ川崎シンフォニーホールで聴いた。コンサート前、オープニング・セレモニーにて威勢のよいファンファーレが奏でられた。


©N.Ikegami

2004年に生まれたミューザ川崎シンフォニーホールは今年で20周年を迎え、毎年恒例の「フェスタサマーミューザKAWASAKI」はクラシックファン憧憬の真夏の音楽祭へと成長を遂げた。今年は川崎市市政100周年に当たる記念すべき年でもあり、首都圏9つのオーケストラがミューザに集結し、浜松と兵庫から2団体が初登場する。

オープニングコンサートは、ホストオーケストラである東京交響楽団とジョナサン・ノット音楽監督が登壇し、昨年に引き続きチャイコフスキーの交響曲から、第2番「ウクライナ(小ロシア)」と第6番「悲愴」が演奏された。コンサートマスターは、ドイツのハーゲン歌劇場オーケストラ第1コンサートマスターの景山昌太郎が客演。

前半のチャイコフスキー交響曲第2番は、鮮烈な演奏で1872年の初稿版が採用された。第1楽章はホルンのソロで始まり、ウクライナ民謡「母なるヴォルガを下りて」の旋律が展開され、美しいメロディが鳴り響いた。第2楽章、中間部に民謡「回れ私の糸車」が引用され、グリンカとロシア五人組からの影響を覗かせた。

第四楽章は、悠々としたファンファーレの後に民謡「鶴」が引用された。ジョナサンノットは躍動感溢れる指揮ぶりで、ヨーロッパ音楽とロシアの民族音楽を融合したようなスケールが大きく明快な音楽を創り上げた。第4楽章 終盤のプレストのコーダはクライマックスとして大変聴き応えがあるものだった。


©N.Ikegami

後半の悲愴交響曲は、ノットが目指した新たなチャイコフスキーの片鱗が感じさせてくれるもので詩的でありながらもメランリックなメロディーを交差させた。第2楽章をノットは非常にゆったりとタクトを振り、優美で繊細な表情を際立たせた。


©N.Ikegami

胸の中のもやもやが洗い流されるようなカタルシスを感じさせてくれるような演奏だった。


©N.Ikegami

■フェスタ サマーミューザ KAWASAKI 2024
東京交響楽団 オープニングコンサート
昨年の衝撃を再び!ノット×チャイコフスキーⅡ

日時:2024.7.27(土) 15:00開演

会場:ミューザ川崎シンフォニーホール

指揮:ジョナサン・ノット(東京交響楽団 音楽監督)

プログラム:

チャイコフスキー:交響曲第2番 ハ短調 op.17『ウクライナ(小ロシア)』[1872年初稿版]
チャイコフスキー:交響曲第6番 ロ短調 op. 74『悲愴』

フェスタ サマーミューザ KAWASAKI 2024 【完売】東京交響楽団 オープニングコンサート 昨年の衝撃を再び!ノット×チャイコフスキーⅡ
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