【公演レポ】ヤニック・ネゼ=セガン指揮 METオーケストラが13年ぶりに来日!〈Bプログラム〉

ネゼ=セガン率いる”METオーケストラ”(メトロポリタン歌劇場管弦楽団)が13年ぶりに世界最高峰の歌手と待望の来日を果たした。6月26日、東京・サントリーホールで名作オペラとシンフォニーが楽しめるプログラムBを鑑賞した。


ⒸNaoko Nagasawa

METオーケストラは1883年MET創立とともに発足。オペラとコンサートの両方で革新を重ね、トスカニーニ、ラフマニノフ、ルービンシュタイン、カザルス、クライスラーなどが共演。今や世界を率いるシンフォニー・オーケストラの一つとして大活躍し、日本国内では北は北海道から南は九州まで映画館で上映されている「METライブビューイング」でおなじみの全米No1のオペラ・オーケストラ。

指揮は、2018年にニューヨークのメトロポリタン歌劇場音楽監督に就任したヤニック・ネゼ=セガン(Yannick Nézet-Séguin)。音楽監督就任後初となるMETとの来日となった。ヤニック・ネゼ=セガンは、40代ながらフィラデルフィア管弦楽団の音楽監督も兼務し、米東海岸を中心に精力的に活動している。かつてカラヤンがウィーン国立歌劇場とベルリンフィルの間を忙しく往復していた姿を想起させる。

プログラムBの前半は日本初演となる「モンゴメリー:すべての人のための讃歌」とモーツァルトのアリア「私は行きます、でもどこへ」と「ベレニーチェに」。「すべての人のための讃歌」は、美しい旋律が特徴的なアメリカの若手作曲家であるモンゴメリーがコロナ禍に祈りを込めて書いた作品。

その後、METを代表する歌姫でいま世界中の歌劇場で引っ張りだこの人気ソプラノ、リセット・オロペサが登壇。


ⒸNaoko Nagasawa

モーツァルトの美しいアリアを2曲歌った。「私は行きます、でもどこへ」では、透き通った良く響く美し声が披露され、オロペサが持つヴィルトゥオーソ性とカリスマ性が存分に発揮された。METオーケストラは小規模な12型であるにも関わらず弦の音が重厚美麗。メットの大歌手オロペセの柔らかで色彩感があるコロラトゥーラとの相乗効果が抜群であった。


ⒸNaoko Nagasawa

後半はネゼ=セガン自身がお気に入りだと語るマーラーの交響曲第5番。トランペット・トロンボーンを中心とした金管は安定感がやや欠ける部分があったが、アメリカのオーケストラらしいパワーと推進力がさすがのものがあった。第三楽章ホルンのソロは安定しており、繊細さも随所に聴きせてくれた。


ⒸNaoko Nagasawa

ネゼ=セガンは、ポジティブな指揮で大編成のオーケストラをダイナミックに鳴らしつつも、音楽は重層的に展開し、オーケストラとの確かな信頼関係をにじませた。弦とハープのみで紡がれる有名なアダージェットの静かな響きは、METオーケストラの劇場オーケスオラとしての矜持を感じさせた。


ⒸNaoko Nagasawa

■ヤニック・ネゼ=セガン指揮 METオーケストラ来日公演2024

日時:6月26日(水)19:00開演(開場18:15)
会場:サントリーホール

出演:

MET オーケストラ(管弦楽)
ヤニック・ネゼ=セガン(指揮)
リセット・オロペサ(ソプラノ)

演奏曲目:プログラムB

モンゴメリー:すべての人のための讃歌(日本初演)
J. Montgomery: A Hymn for Everyone (Japan premiere)
モーツァルト:アリア「私は行きます、でもどこへ」「ベレニーチェに」
(ソプラノ:リセット・オロペサ)
Mozart: “Vado, ma dove?” K.583 / “A Berenice” K.70
(Lisette Oropesa, soprano)
マーラー:交響曲第5番 嬰ハ短調
Mahler: Symphony No.5 in C-sharp minor

ヤニック・ネゼ=セガン指揮 METオーケストラ来日公演2024 <オフィシャルHP>
ヤニック・ネゼ=セガン指揮 METオーケストラ来日公演2024「オフィシャルHP」です。


ヤニック・ネゼ=セガン指揮 METオーケストラ来日公演2024 CM映像

CULTURE